サクっと美術鑑賞でもしてみようと思い立ち、浮世絵の世界が楽しめる太田記念美術館へ行ってみることにしました。
浮世絵が堪能できる太田記念美術館
今回、美術館を見たいと思ったのは、もともと浮世絵に興味があったわけではなく、まったくの偶然、たまたま開いた明治神宮前駅付近の地図に「太田記念美術館」と載っていたからでした。
私が行った日は、あの 小原古邨(おはらこそん)の展示でした。
サラッと言いましたが、実は小原さんを全く存じ上げません。しかし、スマホの漢字変換で「おはらこ・・・」まで入力すると、一発で「小原古邨」と予測変換が出てきました。なんて かしこい。
美術館は1Fと2Fが展示スペースになっていて、1Fには一部、小上がりになっているスペースに展示もあります。ソックスの穴に注意です。いや、保存状態を維持するため薄暗い照明になっているため大丈夫そうです。
土曜ということもあってか、混雑していてなかなか次の作品をみることができません。5人くらい前の方から団子状態になっていました。相当 作品に魅了されているようで、次の人の眼差しがすごいことになっていました。この世界があまりよくわかっていない私は、数点飛ばしで見ることにしました。
うっとりする浮世絵
小原古邨の作品は 愛らしい動物たちの ふとした動き、表情をつぶさに捉え、その続きが想像できそうなリアルな作品ばかりです。作品の動物や花の輪郭も細やか、かつ水彩画のようで 浮世絵(版画)だなんて信じられません。美し過ぎます。
これ、本当に彫ってあるの?と疑うような目でじっくり見てみましたが、和紙に木版の木目が写っているので、当たり前ですが 版画に間違いありません。
細かな鳥の羽や草など線一本一本まで彫るなど器用な手先、そして、集中力と忍耐力・・・。誰にも頼まれていないのに「この仕事は私にはできない」と思ってしまうのでした。
数多くの作品を見ているうちに、制作過程をぜひ見てみたい!知りたい!と俄然興味が湧いてきたので、美術館B1Fにて浮世絵の制作過程のVTRを見学することにしました。
浮世絵の制作過程がすごい
浮世絵とは、絵師・彫師・摺師が三位一体の協力があっての作品だそうで、撮影協力のアダチ版画さんのHPでも作成過程を知ることができます。
また、絵師・彫師・摺師以外にも、和紙の職人さんや、桜の木で版木を作る職人さん、筆の職人さん、彫刻刀の職人さん、どの工程も素晴らしい作品作りには欠かせないことでしょう。
少し意外だったのが、摺りの工程で使用するバレンとハケは摺師さんの手作りだそうです。特に驚いたのがバレンです。竹の皮で覆われたバレンの中身はというと、細い竹の皮を編んでグルグル巻きに 鍋敷き状にしたものだったのです。(昭和後期の鍋敷き)
少し逸れますが、日本の伝統の技を見ると、どうしても自分に出きるか否かを考えてしまいます。これまでに考えて無理だと思ったものは「和三盆づくり」「墨づくり」ですが、今回の「彫師・摺師」も追加しておきます。
キュンとするミュージアムショップ
B1Fにはミュージアムショップもありました。中をのぞいてみると、和風小物やかわいい手ぬぐいが所狭しと陳列されています。
「子供甚平がかわいい!!うちの子に」と思ったら赤ちゃん用のみの販売でした…残念。
期間限定販売か、鯉のぼりや兜の柄の手ぬぐいも愛らしく、タペストリー状に飾るための棒がついたサンプルを思わず手に取ってみたら、スタッフの方が親切に説明をしてくださいました。買いませんでしたが。
アダチ版画さんで制作された浮世絵を購入できますが、14,000円・・・私には手が出ませんでした。浮世絵が出回っていた江戸時代は、お蕎麦一杯分の値段(500円くらい)だったらしいのですが、ここまでの工程や技を知ってしまうと現代では致し方ない価格だと思います。
今回は、職人さんの技や工程まで知ることができて、社会見学をしたようなお得な気分の美術鑑賞になりました。